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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
容疑者Xの献身
2015年2月5日 つぶやき70
昨年4月に今の桜橋渡辺病院に半沢直樹に言わせれば、片道切符の出向で参りましたが、久しぶりに、かれこれ25年ぶりに定期券なるものを使って通勤となりました。大阪大学病院は他の新設の大学病院同様、高速道路のインターチェンジの近くで、繁華街とは縁遠い田舎にあります。大阪市内からですと地下鉄の御堂筋線を北上し、終点の千里中央駅からモノレールかバスで乗り継いで行かねばなりません。昔私が医学生、そして研修医、大学院生として通った旧阪大病院は大阪駅から徒歩でも15分、中之島というオフィス街の中にありましたので、非常に便利でした。なぜそんな便利なところから不便なところへ多額の借金を抱えて移転したのか、まあそれなりの理由があったでしょうが、どう見ても阪大の歴史に残る失策の一つと言えるでしょう。東大や名古屋大、近くでは神戸大や大阪市大は地の利を理解し、ほぼ同じ場所に建て替えたことを思うと、その馬鹿さ加減が余計に引き立ちます。かつて阪大病院のあったところは旧淀川沿いで、今は朝日放送の本社ビルやレストラン街、憶ション、スーパーマーケットなどの高層ビルが建ち並び、もう戻りたくても戻れないといった状況です。
また旧阪大病院の場所は江戸時代には中津藩(軍師官兵衛で有名になったあの大分県の中津です)の上屋敷があり、1万円札の福沢諭吉生誕の地でもあります。さらに旧病院から西へ20~30m行くと“逆櫓の松 (さかろのまつ)“の碑があります。源平合戦の折、源義経が鎌倉からつけられた参謀の梶原景時と屋島強襲の軍議で対立したとされる場所(詳しいことはネットで調べてくださいね)で、歴史好きの私にとっては旧阪大病院はとてもいい場所だったのです。もちろん今の阪大病院にもいいところはあります。高層道路へのアポローチが容易、大阪空港にもモノレールで30分もかかりません。そんな田舎に病院がありますので、通勤はずっと自家用車でした。

桜橋渡辺病院は何度も言っていますが、JR大阪駅から徒歩5分、となりには北新地という大阪を代表する繁華街があり、まさに都心にあります。病院自体も小規模で駐車場もありませんので、公共交通機関での通勤となります。私の場合は自宅からバス、電車を乗り継いでほぼdoor to doorで1時間です。都心に向かう通勤電車ですから座れることは土曜日以外(当院は民間ですので土曜日もやっています)ありません。その通勤時間にただボーとしているのもどうかと思い、読書の時間に充てることにしました。もともと読書の趣味はなく、これまで読んだ本は自慢にもなりませんが歴史関連以外だと20冊程度。ただ、そんなに真剣に読むのもしんどいので、純文学はパス、推理小説やエンターテイメント小説と言われるような大衆文学限定です。最初に読んだのがこのつぶやき再開でも取り上げた“永遠のゼロ”でそれにはまり、百田直樹さんの“海賊と呼ばれた男””プリズム“と読みました。でもプリズムは今一つで、その後は半澤直樹の池井戸潤さんや東野圭吾さん、それと海棠尊の作品を読み漁ってきました。ただ、本屋で新書を買うのは高いので、3か月くらいに1度近くの古本屋に出向き、大量に買い込んで読み終わったらその古本屋で下取りしてもらってまた大量に買い込むというパターンの繰り返し。ここであげた3人の作品で新しい作品はまだ古本屋でも高いので手を出していないですが、古いところはほとんど読んでしまいました。池井戸作品では残るは”下町のロケット“くらいでこれが安くなるのを待っています。
ただ、一番はまってしまったのは東野さんの方で、2,3年前にたまたまこのつぶやきの表題の”容疑者Xの献身“を読んで、こんな推理小説があるんだ、まさに”刑事コロンボ“を見ているようだと感心したものです。東野作品は多いのでまだ6~7割程度しか読めていませんし、新しい作品は安くなってからにしようと思っています。それでも有名どころはほとんど読みました。長編の”白夜行“と”幻夜“も読みましたが、たまたまこの順番に読みましたので、”幻夜“が”白夜行“の続編であることも途中でわかりました。解説によると実はこれは3部作だそうです。最後の1つはまだ世に出ていませんが密に楽しみにしていますし、古本屋に出回る前に新刊を買ってしまうかもしれません。東野作品の意外性に感心しているうちにちょっとクラシカルな推理小説も読みたくなって、松本清張、西村京太郎や内田康夫といった大御所の作品にも手をだしました。どの作家も今まで読んだことはありませんでしたが、中でも松本清張作品は現代社会とは違う戦後の社会を背景としている点ではちょっと歴史小説を読んでいるような感覚を覚えますが、それぞれに意味深長で味わい深いものでした。東野圭吾さんが若い折に松本作品を読み漁ったらしいのですが、それがわかるような気がします。とまあ偉そうなことを書いてますが、松本作品でこれまで読んだのは順番に”砂の器“、”ゼロの焦点“、”霧の旗“、”点と線“の4つで、次に古本屋で仕入れて、読む予定なのが”黒皮の手帳“ですので、まだまだこれからというところです。

今一番の悩みは次の作家は誰にするかです。東野作品が尽きるのも時間の問題です。どの作家がどのような作品を書くのか、という知識も希薄です。そのうち古本屋でなく、本当の本屋さんに行って、店頭に並ぶベストセラーを順番に読んで気に入った作家をみつけるしかないかな、と思っています。通勤の帰り道には紀伊国屋とジュンク堂があります。やっぱり都心は便利です。