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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
本能寺の変:その1
2015年8月4日 つぶやき76
高校野球の各代表が決まり、まさに夏本番と言える季節になりました。早稲田実業の一年生の清宮君に注目が集まっていますが、本番となればまた新たなスターが登場するのが甲子園と言う大舞台です。今年は高校野球も100年という節目の年、そのせいではないでしょうが、代表校にも古豪と言われる高校がいつもより多いような気がします。最後の大阪代表で浪商が来れば役者がそろうところでしたが、決勝で大阪偕星学園に敗れてしまいました。次の日のメディアでは関西では誰もが知るアホの坂田こと、坂田利夫さんは大阪偕星学園のOBで、初の甲子園に大喜びとの報道です。全国大会に初出場でその学校の有名なOBの一人の動向が大きく伝えられること自体、甲子園とは今でも日本人には特別なイベントなんですね。

このつぶやきですが、ネタに困ると決まって登場していただくのが歴史ネタです。ただ、今回の歴史ネタは満を持しての話なんです。歴史に謎はつきものです。もちろん何百年も前に話をもっともらしく言うわけですから、明確な事実の羅列をつなぎ合わせるためには何らかの説得力のある推察や推量がついてまわるのは仕方ないでしょう。でも、わからないことを見つけてはあれこれ想像を膨らませるのがおもしろいんです。さらにはSTAP細胞のような捏造が隠されていても、それを見極めること、そして真実を確認するのが難しいこともあるでしょう。将来、新たな文献が発見されて、歴史の教科書的な真実が実はとんでもなかったと訂正されることもあるかもしれません。

今回取り上げるのは歴史番組では必ず登場する”本能寺の変”です。1582年旧暦の6月2日の早朝、明智光秀が主君織田信長に謀反、これを殺害したというものですが、ここまでは紛れもない事実です。ただ、今でも議論が尽きないのは光秀が謀反に至った背景とその動機です。さらに、慎重と言われていた信長がなぜわずかな手兵で本能寺にいたのかです。たかが、動機なんかどうでもいいと思いますか。いえいえ、これによっては本能寺の変の意味あいが全然違ってしまいます。よく言われることは光秀が信長に冷遇されたことを恨んだとする怨恨説、さらにここで信長を殺せば天下を取れるとした野望説です。さらに信長は不覚にも油断していてわずかな手兵しか持っていなかった(信長油断説)。これらの条件がそろっていたので光秀が衝動的に謀反に及んでとするものです。私が最初に読んだ歴史本(豊臣秀吉という伝記もの)では光秀が中国の毛利攻めに行く途中に、自軍を突然京都に引き返して、”敵は本能寺にあり”という名言で軍勢を鼓舞したというものでした。この衝動的に行ったとする逸話は私が歴史に興味を持った子供のころからの定説ですし、小中高の社会の教科書も似たり寄ったりでした。それでも、子供心には納得しておりましたが、大人になるにつれいろいろな情報が聞こえてくるとこれらの説だけで説明するにはなんとなく違和感を感じざるをえませんでした。その違和感をまとめると以下の3点です。

1.光秀は武将としてはいわゆるインテリで宮中の知識もある(これは定説)。それ故に衝動だけで何の見境もなく無計画に謀反を行う事への違和感。
2. 光秀は織田家にとっては新参者でありながら、信長のもとで重宝されて格段の出世をした(これは事実)。信長が実力主義であることを考えるとむしろ非常に気に入られていたような印象があり、冷遇されていたというのは理解しづらい。
3.信長がわずかな兵しか持っていなかったことへの違和感。下剋上や裏切りが日常の戦国にあって信長ほどの人物が油断していたというのは説得力に欠ける。わずかな兵しか持っていなかった本当の理由があるのではないか。

実は最近これらの疑問を納得させてくれる本に出会いました(それでこのコーナーで取り上げたくなった)。出会いというほどのことではありません。結構ベストセラーになっていたためよく行くブックファーストの店頭に並べられており、目に留まったのです。
それは明智憲三郎さん著の”本能寺の変 431年後の真実”。著者の苗字からわかると思いますが、かの明智光秀の末裔だそうです。本の内容は極めて斬新で、想像もつかなかった内容でしたが、それなりに証拠となる文献等もあげられており説得力は十分でした。もちろん、事実をつなぐところにはいくらかの推量はありましたが、教科書で習った事よりは納得がいく内容でした。その内容を書くのはネタバレと非難されるかもしれませんが、今までの疑問や違和感を開放された何ともいえないいい気分で書かせていただければと思います。

通常、この”つぶやき”は1回完結でやってきましたが、今回は話が長くなるので月またぎでお願いしたいと思います。今月は単なる前触れでおしまいです。
この”つぶやき”が世に出る前に当院手術部の師長が校閲していることは何度も述べてきましたが、今回厳しい注文がありました。病院のHPの一部を占拠しているのだから、もっとこの病院がいかにいい病院なのか、またいかに働きやすい職場であるかを前面に出す内容にすべきであると。その意味ではこのシリーズは病院への貢献度ゼロです。でも、今更わかっていることを書いてもしつこいだけなんですがねえ。(つづく‐‐‐)