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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
車内放送
2019年8月6日 つぶやき124
 インバウンドという言葉がよく耳にするようになりました。この言葉、本来の意味は外から中に入り込むということらしいですが、日本を訪れる外国人観光客という意味で使われることが一般的になりました。10年前では想像もつかないくらい多くの外国人の方が日本に来られています。梅田の地下街を歩いていると多くの外国人旅行者に出会います。ちょっと前までは中国語の大きな声が聞こえる、というところでしたが、今は英語での会話が聞こえてくるのも珍しくなくなりました。病院が梅田駅の近くというのもあるかと思いますが、この1年間で2度ほど通勤時に外国人の方に呼び止められ、このホテルはどう行けばいいのか?と英語で聞かれました。一つはヒルトンホテルでしたが、この時はホテルのほぼ目の前で呼びとめられたので少々こちらも面喰いました。もうひとつはホテルマイステイズ堂島、地図を見せられ、”知っていますか?”こんなところにホテルあったけ?と思いましたが、地図にそって”その大きな道路(国道2号線)を渡って、2つ目の信号を‐‐‐‐‐‐”。新しくできたホテルみたいで、見た感じはさっぱりしたビジネスホテルでした。

 インバウンドの増加に対応するように関西のJRや私鉄では車内方法が日本語に続いて英語や中国語等で行われることが日常になりました。今月はその車内放送について、まあどうでもいいような”つぶやき”です。

 最近、東京出張があり、ほぼ半年ぶりにのぞみに乗りました。外国の方向けの車内放送はいわゆるnative speakerの声を録音した流すものと思っていましたら、新幹線(JR東海というべきか)では録音された案内に続いて、車掌さんがお世辞にも上手とは言えない英語で放送されていたものに妙にひっかかりました。確かこんなフレーズでした。”Japan rail pass cannot use this train”? 覚え間違いかもしれませんねえ、このままだと英語として変ですから。”Passengers with Japan rail pass cannot use this train”だったかもしれません。これならOKだと思いますので。その中でひっかかったのはcannotでした。そのnotが聞こえにくかったです。”もっとしっかり発音せにゃわからんぜ”という心の叫び。Japan rail passは外国人の方向けのいわゆるJRの周遊券ですが、今から25年ほど前に私が留学時にお世話になった教授が日本に来られた折に”便利な切符ですが、日本では買えないので事前にアメリカで買ってきてほしい”と伝えた記憶があります。当時は新幹線でも在来線でも特急でも何でも乗り放題で座席指定も無料でしたので、それを使って彼はご夫婦で東京から京都、大阪、姫路、九州長崎まで、そしてそこから岐阜、名古屋(木曽路)、鎌倉を経て東京に戻り、成田から帰国という大旅行を敢行(観光?)しました。私の中ではJapan rail passはどんな特急にも乗れるものと思いこんでいたせいだと思いますが、のぞみに乗れませんというアナウンスに強い違和感を感じてしまいました。確かcannotと言ったように聞こえたけど聞こえにくかったし、実はcanだったのかな、でもcanならわざわざ放送する必要ないし、ということで、”notがあるならはっきり言えよ、英語で話すならもうちょっと勉強しろよ、お前が下手な英語するくらいなら録音したもの流せばいいだろうに”、そんなモヤモヤが晴れませんでしたので巡回してきた車掌さんを捕まえて、”つまらんことですが、Japan rail passではのぞみに乗れなくなったのですか?”と聞きましたら、確かにcannotでした。

 JR東海がこの自前の英語の放送を始めた理由、正直よくわかりません。来年は東京五輪、いやが上でもインバウンドが増えますし、新幹線の利用が多くなるのは間違いのないところ、JRに限らず交通各社の現場で働いている職員が英語で対応できることは望ましい事です。でも、その練習のために始めたとすれば、ちょっとピントがずれています。必要なのは外国人観光客の英語を聞き取り、それに適切に答えることですから、いくら車内放送の練習をしたからといってそれに寄与するとは思えません。実はもうひとつjapan rail passより難関な車内放送が下りののぞみで聞けます。のぞみが名古屋の一つ手前の三河安城駅を通過する際のアナウンス。”この電車は三河安城駅を時刻通りに通過しました。次の名古屋にはおよそ10分で到着いたします。”これを日本語アナウンスに引き続いて英語で車掌さんが生放送されていました。もちろんカンニングペーパーを見ながらだとは思いますが、結構な難易度だと思います。やはり、場馴れのための練習としか思えませんし、英語が苦手の車掌さんにとっては夏の風物詩、肝試しの一種かもしれません。

 さんざんJRに悪態ついた後ですが、JRの車内放送に”オッ、いいねえ”と思えるものがありましたのでご紹介します。それは大阪環状線でのこと。最近どの電車の車内放送でも “‐‐‐‐‐の方に席を御譲りください”というのがあります。環状線でいいねと思ったのはここでの”妊婦”の英訳です。妊娠しているという言葉、英語にするとどうなりますか?私の感触では一番日本人があげる単語、それはpregnantではないでしょうか。でもJRは違いました”expected mother”と言っていました。この方がより一般的な表現だと私は思っていましたので、心で拍手、拍手です。でも、日本の英語教育ではpregnantとは教えますが、expected motherやI am expecting(私は妊娠しています)という表現はあまり教えませんので、このギャップはやむを得ないところですが、JRもいいことするねえ、と思った次第。もっとも環状線はJR西日本、東海道新幹線はJR東海、別会社でしたね。