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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
スター誕生
2020年8月12日 つぶやき136
 このタイトルを見て懐かしいと思われた方(ご年輩)も少なからずおられるのではないでしょうか。日曜日の確か午前11時スタート、萩本欽一さんが司会のスター発掘番組の草分けといえるテレビ番組です。森昌子、桜田淳子、山口百恵、岩崎宏美等がこの番組の看板スターでしたが、名前を聞いて若い人には”化石”と映るかもしれませんね。当時を知る方々はこの番組がとんでもないお化け番組だったとご理解いただけると思います。なにせ昨日までは一般人だった人がアッという間に日本全国知らない人はいないくらいの有名人になる、そんなスターが生まれることで芸能界が大いににぎわったものです。どの業界においても一人のスターが生まれることは業界全体に大きなプラスをもたらすもの、ちょっと業界違いかもしれませんが、誰かがノーベル医学賞を取った時に進学校と言われる高校に通う高校生に聞くと将来は研究者になりたい、という希望者が増える、それは日本の医学研究の発展には欠かせない要素だと思います。

 昨月(7月)の16日にすでに将棋界では全国区になりつつあった藤井聡太七段が渡辺明棋聖を破り、将棋界の最年少タイトル記録を更新しました。デビュー後の連勝記録で注目をされていた藤井七段、タイトル獲得は時間の問題というのは将棋界のコンセンサスだったと思います。それまでの時間が問題で最年少記録の更新なるかが、注目されていました。現在の将棋界の第一人者をあげるなら、豊島名人と渡辺棋聖でしょうから、その一角からのタイトル奪取は真に彼の実力がトップレベルであることを証明したと言えると思います。今彼はもう一つのタイトル戦である王位戦に挑戦中でタイトル保持者の木村王位に3連勝とし、タイトル奪取にあと一勝と迫っています。このまま彼が2つめのタイトル獲得となると思っていても間違いなさそうな状況で、まだしばらくは”藤井フィーバー”が続きそうです。彼が記録更新するまでの最年少記録を持っていたのは屋敷伸之九段ですが、そのおりのこともよく覚えています。屋敷九段の時は何か”勢い”というかか、怖いもの知らずというかそんな感触であっという間にタイトル獲得だったような印象ですが、藤井七段の場合は”勢い”というより”当然”という雰囲気が感じられます。かって将棋界のすべてのタイトルを独占した羽生善治九段が若くして四段、五段のころから頭角を現し、”羽生マジック”といわれたころによく似ています。このまま順調にいけば羽生九段に続いてタイトル独占も期待できます。彼はまだ若いですし、何かと誘惑や面倒なころもあるかと想像しますが、一人のスターの恩恵は将棋界のみならず、一般社会にあたえるものも多々あるものと思いますので、静かに彼の活躍を見守りたいものです。

 彼の登場でいい意味で将棋界は盛況になりましたが、他の業界への影響も見られました。彼が対局中に注文した食事が”勝負飯”として紹介さてその店がにぎわったり、タイトル奪取をした棋聖戦の時に彼がしていたマスクに注目されて、そのマスクはすぐには手に入らない状況だそうです。このように何かを契機にあるものが品不足になる、店頭から消える、のはこれまで日本でよくみられる現象です。最近ではカーリング女子のもぐもぐタイムの北見市の”赤いサイロ”、もっと最近では吉村知事がイソジンうがい薬がコロナに有効と、記者会見でいうとドラッグストアのイソジンが売り切れる、といったところ。特にイソジンの話はちょっと笑えました。それは店頭からなくなったという話ではなくて、あの冷静沈着そうに見えた吉村知事が記者会見してまで言ったことにです。イソジンによらなくてもうがいは有効ですが、効果は限定的というのが医学の常識、それよりコロナ対策としては手洗いや手の消毒がもっと大事です。何かを契機に、特に権威ある人や有名な人が言ったり、持っていたりすると国民こぞってそれを手に入れたがるのは日本人だけの極端な現象かもしれませんが、あとで振り返るとちょっと滑稽です。この一律性は日本人特有の価値観かもしれませんが、この価値観をうまく利用すればコロナ対策に使えるのはないかと思えます。そんなに厳しく、ギャーギャー言わなくてもある程度の画一的な行動が取れる国民と信じれば、コロナと経済、うまく両立できあいかなあと思ってしまいます。でも、このことを政府の偉いさん、西村大臣あたりが公式に言うと今は袋叩きにあうかもしれません。