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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
第3波が来た
2020年11月5日 つぶやき139
 11月のつぶやきはアメリカの大統領選挙の結果を待ってからにしようかな、と思っていましたが、ネットなどの情報ではこれまで通りに投票日の翌日に大勢が判明するのはむつかしいとのこと。別のネタでやらせていただこうと思いました。

 今一番関心がある話題はやはりコロナでしょうか。今年何度となくつぶやいていた話題ですが、この1週間ヨーロッパで大きな変化がありました。患者急増を受けてイギリスで再びのロックダウン、フランスでも同様に患者急増を受けて店舗の営業時間短縮等が報道されています。日本もそうですが、ヨーロッパの国々も第1波、第2波の2回の洗礼を受けていますが、ここにきて再び患者が急増しています。人間には免疫という機能がありますので、一般的には一度ウイルス疾患にかかると免疫ができて次は罹らないか、罹っても重症化しないと言われています。ただ、今回のコロナ相手でこの機能がどれくらい有効に機能してるのか、またどのくらいの期間維持されているのかが、よくわかっていません。単純に考えれば第1波あるいは第2波でウイルスに感染した人は第3波での感染はないはずですから、この第3波の患者急増はまだこのウイルスに感染した人が思ったほど多くなかったということになります。しかし、この考え方には賛同できない方は多いと思います。あまりに急激な患者増の説明がつきにくいからです。少なくとも第2波の時はこれほどまでの急増ではなかったので第1波の時のような経済制限はありませんでした。第3波の現在は第2波のときより免疫を得ている人が増えているはずなのに患者急増に歯止めがかからないのが今のヨーロッパの国々の状況です。この状況からこのウイルスが持つありがたくない特性を考慮しなければなりません。それはずっと指摘はされていたものの、現実まで問題とはなっていなかっただけなんですが、その一つ目はこの第3波は第2波と違って温度の低下とともに流行している点です。以前よりインフルエンザ同様に寒くなればウイルスの活動性が増して、流行するかもしれないとは言われていましたがそれが現実のものとなったという説明、つまりウイルスそのものは第2波と変わっていないが、より感染しやすい環境になったということです。その二つ目としてはこの新型コロナウイルスは他のコロナウイルス(一番身近なのは季節性インフルエンザウイルスだと思いますが)同様にいわゆるRNAウイルスだということ、ウイルスは2種類あって、もうひとつがDNAウイルスなんですが、DNAウイルスに比べてRNAウイルスは変異しやすい、つまり変わりやすいウイルスなのです。少し話がずれますが、DNAウイルスの代表例と()内にそのウイルスが招く病気をを挙げるとアデノウイルス(流行性角膜炎)、水痘ウイルス(水疱瘡)、痘瘡ウイルス(天然痘)等々、結構毒性が強いのが並びます。一方同様にRNAウイルスをあげると、麻疹ウイルス(はしか)、風疹ウイルス(風疹)、ムンプスウイルス(おたふくかぜ)、ノロウイルス(感染性胃腸炎)など比較的身近なウイルスがあがります。話を元に戻しますが、新型コロナについてはかなり変異が起こりやすいことはこれまでの研究結果からまず間違いないところです。つまり、ヨーロッパあたりでウイルスがかなり変異して、第1波や第2波で得た免疫が効きにくくなっているかもという可能性と変異に伴ってウイルスが強毒化したのではないか、という可能性です。結論は今すぐ出るものではありませんが、ウイルスが強毒化していたら厄介です。この2つの考え方、つまり環境の変化とウイルスそのものの変化、のいずれもあり得ると思えますが、現時点での確証はありませんが、いずれにしてもこの第3波は一番面倒かもしれません。新型コロナウイルスが変異しやすいウイルスであることが厄介であることはそうなんですが、いい面も実はあります。変異した場合、必ず強毒化するわけではない、逆に弱毒化することもあるからです。このウイルスの弱毒化はあまり報道等では取り上げられていませんが、医学的にみてありうる話で、もっとマスコミが指摘してもいいように思えます。そうなればブラジルの大統領が言ういわゆる”ただのかぜ”になってくれる可能性もあります。甘い期待と言われるかもしれませんが、悪いことばかりでは滅入りますしね。

 さて、日本の現状はどうでしょうか。患者数は微増というのがここ2週間の様子ですが、患者増に一番貢献しているのは東京と大阪です。まだヨーロッパような患者数の激増は起きていません。ただ、収束しているとはいいがたい状況ですので、冬将軍の到来でどう変わるのか、寒くなっても患者の激増がなければ、このまま収まるかもという楽観論を期待しつつ毎日感染者の変化を確認するのが日課となりつつあります。

 ちなみに私が毎日目を通しているのはhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/。毎日更新されていて、情報をコンパクトに伝えてくれています。ちなみに世界各国の情報はhttps://www.worldometers.info/coronavirus/で見られます。

 さて、私事ですが、来年の3月をもって本院を定年退職となります。今回が数えて139回めですので、3月まで続ければ最後が143回目となりますが、区切りのいいところで来月の140回をもって私のつぶやきは終了と考えております。長くおつきあいいただきありがとうございました。