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外科
強調画像による内視鏡検査は以前より開発され臨床で使用されておりますが、画面が暗いため拡大した状態でないと病変を見つけにくく、スクリーニングには適していませんでした。
今回導入した強調画像モード(i-scan ※1)はスクリーニング検査に適したモードで、これを用いた内視鏡の映像を紹介します。図1の矢印は通常の胃内視鏡の胃のポリープ(組織学的には過形成ポリープという良性のポリープ)の写真です。図2の写真は血流の多い部位を検出する画像処理モード(TEg)の写真です※2。画像処理によりポリープ部分は周囲より赤さが際立ち、通常画像よりもポリープとその境界が見つけやすくなっているのがお分かりいただけると思います。

※1: i-scanとはPENTAX社製の強調画像モードの総称で、SE、CE、TE(TEe・TEg)、OE(OE-1,OE-2)の種類があります。
※2: 図2でポリープ部分は赤い色調に強調表示されています。なお、ポリ-プの上部には血液が付着しています。写真下の棒状のものは、組織をつまむ鉗子です。

図3は胃の前庭部(胃の出口近く)を見た胃カメラの写真で、二ヶ所あるビラン(小さな潰瘍)部分を○で囲って示します。写真下方のビランは良性ですが、矢印で示した写真上部の5mm程度のビランは早期癌です。図4にi-scanで癌検出モード(OE-1)の癌の部分を拡大した写真を示します。写真右下に斜線で示す部分が癌部分と考えられます(※3)。

※3: 本例は癌診断確定後に、他院で内視鏡治療を依頼しております。

経鼻内視鏡は鼻から入れる胃カメラで、直径5mm位の細い内視鏡を使います。鼻から入れるため、「えづき(嘔吐反射)」が出にくい検査方法です。図5の上段は通常の上部内視鏡(胃カメラ)で、下段は経鼻用の細口径内視鏡です。通常の胃カメラに比べ、細口径内視鏡はさらに細くなっております。
しかしながら、細いとはいえ誰もが検査を受けられるわけではありません。鼻の内腔が狭い人(鼻の広さは、外見の鼻の大きさでは予測できません)、鼻に炎症や腫瘍がある方では検査はできません。鼻腔が検査可能な広さであっても、5%の患者様、つまり20人に1人は鼻血が出ることがあります。
検査の前には通常プリビナ(ナファゾリン硝酸塩)という薬を鼻の中に注入します。これは鼻粘膜の血管を収縮させ鼻を広げる点鼻薬です。しかし、狭心症や高血圧の方では使いにくい薬です。
経鼻内視鏡検査は、定期には行っておりませんが、希望者される方がおられれば個別に対処しております。