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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
オンライン学会
2020年5月7日 つぶやき133
 先月、このつぶやきを書きながら来月はいい話が書けたらいいなあ、と漠然と期待していましたが、甘かったです。まだ山を越えたと思えない状況で政府が非常事態宣言を延長したのは当然といえますが、どこかで段階的であれ経済活動の再開に踏み切らないと新型コロナは克服したが本体の経済が再起不能になってしまう懸念も取りざたされています。特に飲食業、ホテル業や旅行業とその関連業種に従事されている方々は肝を冷やしながら状況を見ておられるものと思います。どこで舵を切るか、その明確な指標としては退院者の数>新規患者の数というのがあるのですが、これがまだみえないですね。それまで経済が持つのか、政府としても難しい決断であることは理解します。でも、ここは結果論で評価されるのを覚悟するしかないでしょう。事実大阪府は独自の判断でやるみたいですね。維新の会の存亡をかけたといえばちょっと言いすぎでしょうか。結果が良ければ歴史に残る好判断と賞賛されるでしょうし、間違えば歴史に残る悪行と末代まで語られるでしょう。いずれにしても名は残ります。安倍さんもなかなか運がいいかもしれません。おりしも今年の大河の明智光秀の本能寺も一つ何かが違っていたら、例えば秀吉の中国大返しがなければ、天下人への好判断だったと評価されていたかもしれません。ネット上では安倍さんは官僚依存で自分では判断できないとのうわさもありますが、この決断、男冥利に尽きませんか?

 このパンデミックで普段なら連休明けから始まる春の学会シーズンが軒並み中止またはオンライン開催になっています。私達麻酔科医にとっての一番の学会は毎年5月の末から6月の初めに開かれる日本麻酔学会ですが今年はオンライン学会となりました。学会からはオンライン学会の参加要項なるものが発表されているようですが、これで学会の意義が十分満たされるのであれば、病院を留守にしなくていいし、この先たまにはオンラインでもいいよね、となれば新型コロナがもたらした数少ない恩恵かもしれません。なにせ、麻酔科医になってこのかた東日本大震災で8月に延期されたことはありましたが、現地で開催されなかったのは初体験ですし、それは私に限らず今の麻酔科医の先生はみなさんそうでしょうからまさに暗中模索というところでしょうか。今年の開催場所は神戸ポートピアホテルでしたので学会に伴う終われば観光というメリットはないので、開かれない残念感はかなり薄いです。もっとも、麻酔学会も大きくなりすぎて会場のスペースの問題で横浜か神戸での開催が続いていますので麻酔学会にてその恩恵を求めることは昔の話となってしまいました。もう少し小さな学会であれば地方都市でも開催されることも多々あります。この世に60年以上生きてきましたが、まだ足を踏み入れたことのない都道府県は少なからずあります。ちょっと復習してみましたが、青森、秋田、山形、福島、茨城、新潟、香川、沖縄でした。このうち新潟と香川は電車か車で県内には入りましたが、途中下車なし通過でしたので、正確には足を踏み入れたことがない、とは言えかもしれません。三途の川を渡るまでには全都道府県をという気持ちはありますし、引退したら沖縄と東北には行こうかと思っていますが、学会で行く機会があれがありがたいですね。ちなみに今年は地方開催の当たり年で、9月には札幌で日本心臓血管麻酔学会、11月には松江で日本臨床麻酔学会が予定されています。特に札幌の開催はかなり久しぶりで若い先生方は楽しみにしていましたのでその間は私は留守番をする予定でしたが、この状況です。現地開催されるのか、オンラインになるかは今月の末の判断とのこと。う~ん、ちょっと厳しいかも、でも現地開催してほしいですね。松江まではまだ少し時間がありますからそのころまでは制限もなくなればと願っています。

 今回のコロナ肺炎で私たちは多くのものを失っています。おそらく過去の歴史をみても100年に一度の大事件だと思いますが、いかに現代社会のシステムがもろいかも思い知らされました。今回の学会は中止ではなくオンラインでの学会開催ですが、これはこんな状況にならない限りありえないことですし、これを機に常時においてもこれは使える、というものを見つけたいものです。コロナにやられっぱなしでは少々悔しいですし、一太刀くらいは浴びせたいもの。将来の麻酔科医に2020年のパンデミックがなかったら、今の学会様式はなかっただろう、きっと今でもちまちまと一か所に集まって学会を開いているに違いないというコメントを出させたいものです。