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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
オリンピックイヤー
2016年1月6日 つぶやき81
2016年になりました。西暦が4の倍数はその年に夏のオリンピックが開かれることを意味します。そして、次の4年後は東京です。日本に最初にオリンピックが来たのは1964年の東京でした。当時、私は小学校の1年生。ようやくテレビが各家庭に普及しだしたころでした。小学校1年生、十分物心はついていますが、このオリンピックの記憶はあまりありません。テレビで見ていたようには思いますが、今でもその場面を見ていたと確信が持てるのは三宅選手の重量挙げの金メダルとマラソンの円谷選手が競技場内に2番で戻ってきたものの、トラックで抜かれ3位になったシーン、確かにテレビは”円谷がんばれ”を連呼していました。世にいう”東洋の魔女”や柔道無差別級のヘーシンクなど、後々のビデオでよく再生されるになるシーンはあまり記憶にないのです。テレビでよく見ていたといえるのは次のメキシコ(当時は小5)とその次のミュンヘン(中3)です。どちらもかなりの時差ですので、見ていたのは録画だったのではないかと思いますが、それでも興奮冷めやらぬという言葉が当てはまっていました。

今年のオリンピックはブラジルのリオデジャネイロ、これは釈迦に説法ですね。昨年の夏が終わりかけたころからその出場権をめぐる予選が目白押しでした。”オリンピックは参加することに意味がある”。子供のころに先生か両親かに教えてもらう名言です。オリンピックのシステムが理解できなかった子供のころはある団体球技に日本チームが出ていないことが不思議で、負けてもいいから参加すればいいのにどうして欠席なんだろう、という質問が頭の中に渦巻いておりました。さすがに中学くらいになるとその疑問への答えがわかりましたし、そこにはかの名言とは裏腹になにか理想と現実のギャップというものを見つけた様な何ともいえない気持ちにもなりました。

昨今の日本の団体球技はメダルどころか、予選を通過できるかどうか、むしろ予選の方がオリンピック本番よりもマスコミに取り上げられるような傾向があるように思えます。その予選で昨年日本女子がバスケットボールでアジアチャンピオンになり、出場権を確保しました。男子が長い沈黙の中にあるのに対して、女子はこれまで結構がんばっています。ただ、本番ではいまひとつ力が発揮できていなかったといいますか、やはり世界の本気は大きな壁といえます。男子はアジアですら全く歯が立たなかったのですが、今回はくじ運にも恵まれて4位を確保し、世界最終予選の出場権を得ました。予選突破は難しいとは思いますが、番狂わせはあると信じたいです。女子のバスケより賞賛されるべきはポセイドンジャパンというキャッチフレーズの男子水球だと思います。前回のロンドンでもあと一歩及びませんでしたが、今回はその雪辱といえます。他の競技と違い、水球にはサッカーのようなプロもなければ、バスケのような企業チームもなく、厳しい環境下でのオリンピック出場でした。本番での目標は謙虚にベスト8であるといいます。おそらく出場チームでは一番弱いとされているのでしょう。体の大きさは大きなハンディだと思いますので、今回は全敗で帰ってきてもいいでしょう。サッカーだって最初のワールドカップは全敗でした。今回の予選突破で水球競技への認識が高まり、4年後への支援が増えることを願いたいです。年が明けて、男子サッカーのアジア予選です。このところずっと予選は突破していますが、今回はそんなに簡単ではなさそうです。かつてはお家芸と言われていたバレーボールも男女ともまだ出場権がありません。特に男子はロンドンに続いて今回も楽観できない状況です。私たちの世代ではオリンピックでメダルといえば体操、レスリング、バレーボール(柔道、野球、ソフトはなかったし、水泳も不振の時期でした)でしたので、バレーボールの凋落はさみしい限りです。

柔道やレスリングは体重別の競技ですので、外国人との体力差はまだ緩和されますが、団体球技は無差別級です。日本人と外国人との体力差を克服するというか課題はどの競技でも同じでしょう。そして、その答えはおそらくスピードだと思いますし、チームとしての機能性だと思います。そんなことをお前に言われんでもわかっていると反発されそうです。私達の世代で忘れられないのは1972年のミュンヘンで男子バレーボールの金メダルです。特に準決勝のブルガリア戦、決勝の東ドイツ戦、いずれも逆転でも勝利、特にブルガリア戦は劇的でいわば徳俵でこらえてのうっちゃりでした。もし、今のルールのラリーポイント制だったら勝ちはなかったと思います。当時の松平監督のポリシーは1対1では勝てないのから6対6で勝てる戦略であり、そこで生まれたのが当時サーカスと言われたコンビバレーでした。見ていて奇抜で創造的な”美しい”バレーでした。無差別級を勝ち抜くには同じ方法では追いつかない、何か目を見張らされる何かがいる、それはどの球技にも通じるものだと思います。それは私達医療の世界、とくに研究でも求められていると思います。ただ、それぞれの競技でどう具体化していくか、が大きな壁であり、指導者の力量が試されています。4年後は自国開催ですので予選は免除されます。だからと言って負けてばかりでは楽しくありません。野球やソフトボールが今後どうなるかは不透明ですので、東京オリンピックでは何かひとつでもいい、この競技はオリンピックでメダルが取れるというものを見せてほしい。それが見ていて楽しいし、オリンピック成功に大いに貢献するはずです。東京は間違いなく、私の人生で自国開催の最後のオリンピックです。なにかいい冥土の土産がほしいですね。