年が明けて、皆様にとって昨年は思い出深い年だったでしょうか。私事ですが、昨年還暦を迎え、還暦同窓会なるものが2回ほどありました。年賀状のやり取りはあったが、会ったのは本当に中学卒業以来という友人との再会は心に残るものでした。
何年もたった後にふりかえれば、そういえばあの時が節目の年だったなあ、と思えることはあるものです。私にとっては1年前にこのコーナーであげた目標であるBMI
25以下にキープすることが達成できたことは大きなイベントでした。1年間、多少の変動はありましたが、キープできたことで何となくこの先どうすれば体重増加を予防できるか、別の言い方をすればこれくらいならカロリーを気にせず食べても大丈夫、という感覚がわかったように思えます。人生の第4コーナーをまわり、最後の直線にかかりましたが、お酒が飲めない私にとっては最後までおいしいものを食べる楽しみだけは失いたくないものです。
様々な業界での昨年の様々な出来事を振り返る時、将棋好きの私にとっての1番は将棋界に現れた中学生プロ、藤井聡太四段のデビューからの29連勝ですね。彼が強いことは前々からわかっていましたが、ここまで勝つとは想像を超えたできごとです。野球やサッカーなどのスポーツで成功すること、つまり一人前に稼げるようになることだけでも希少なことですが、将棋界はそれ以上に厳しいと思います。何しろ一年間でプロになれるのは四人だけですから、東大理三(医学部)以上の天才集団が将棋のプロ棋士だと思います。ここには相撲界で噂されるような”星を回す”という行為は存在しない真剣勝負の連続です。天才の集まるなかでの29連勝ですから、マスコミが書きたてるように順調にいけば、若い藤井四段が10年もたたないうちに将棋界にトップに君臨することは間違いないでしょうし、その時になって平成29年が大きな節目だったということになるはずです。
もうひとつ、私が感心したできごとは昨年放送された大河ドラマの直虎です。面白かったというのではないのです。むしろ結構ウダウダやっていて面倒くさいドラマでした。歴史的なほぼ無名の人物を扱ったわけですからシナリオを描くことだけでも一苦労だったろうと同情もありますが、ドラマの面白さは視聴率でわかるはず。ただ、最後に”やるな”と思ったのです。大河ドラマや他の歴史ドラマでは織田信長と徳川家康の間が判におしたように良好な義兄弟のような関係と描かれるのが普通であり、むしろ無難といえます。でも、私はその考えには賛成できません。信長にはそんな情などあると考えることがありえないのです。直虎ではその点に踏み込んで、兄弟というような生やさしい関係でなく、主従関係、もしくはそれ以上に厳しい関係であったこと、を明確に描いていました。NHKというどちらかと言えば親方日の丸的な放送局がこれまでの歴史的一般観念に逆らうような設定をしたことにはちょっと感心しましたね。武田家が滅亡した時点で家康の利用価値がなくなったと考えた信長がこれを抹殺しようと計画したことは”食うか、食われるか”の戦国時代では至極真っ当だし、信長らしいといえます。本能寺の変は明智光秀の謀反であることは動かしようがない事実ですが、この歴史の大イベントの背景にある人間関係はこの後様々なドラマでとりあげられるはずです。それが今後どのように変わっていくか、平成29年が本能寺の変見直し元年にあるかもと、ちょっと注目です。
まだまだ冬の寒さはこれからが本番です。インフルエンザの流行もこれからでしょう。このコーナーにおつきあいしていただいている皆様の今年一年のご健勝と御多幸を祈念し、本年もおつきあいいただければと存じます。