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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
新型肺炎 続編
2020年3月4日 つぶやき131
 新型肺炎の蔓延がとまりません。世界的な大流行、いわゆるパンデミックという状況になりつつあります。日本政府としても手を尽くしているようですが、未だ抑え込みが成功しているとはいえないことは明らかです。政府は集会やコンサート等の多くの人が集まるイベントの中止・延期を呼びかけています。これを受けてプロ野球は無観客試合、競馬も同様になり、Jリーグは中止、そして2日には大相撲の春場所も無観客と発表されました。また、ほとんどの著名なアーチストのコンサートも中止、延期となっています。東京ディズニーランドも休園となり、関西ではUSJと枚方パークの休園もローカルニュースになっていました。私達医師にとっての一番身近な人が集まるイベントは学会なのですが、これも中止・延期が相次いでいます。麻酔科医関連では今週末には名古屋で日本集中治療医学会(3月6-8日開催)が予定されていました。1週間前になっても中止・延期のアナウンスがなく、もしかしたら開催されるのかもと、ある意味野次馬根性的な目でみておりました。この状況で開催したら歴史の残る学会になったでしょうが、結局落ち着くところに落ち着きました。

 先週の末に総理は学校の臨時休校を全国に要請しました。唐突な要請であったのと説明不足が重なり、あまりいいようには受け入れられていないようですが、医学的な観点からすれば感染拡大阻止のためには合理的な対策だと思います。過去に人類は幾度となく感染症のパンデミックに晒されてきましたが、その歴史の中で人が集まるイベントをやめること、それは学校も含めてですが、それが効果的であることは証明されています。ただ、個々の判断に任せるとどうしても少しばかりだったらいいんじゃないか、という甘い考えが生じますので、行政主導で明確な方針を示して行うべきものですし、政府の腕の見せ所でもあります。今回の総理の発表はそれに伴う共働きの家庭への打撃など、準備不足の感は否めませんが、政府が本腰を入れて感染対策をするという意気込みは感じました。

 実はこの週末に所要があり、東京まで日帰りで行って来ました。朝一番の伊丹-羽田を予約していたのですが、皆様が不急の外出を控えておられるだのと思います、乗客もまばらで、いつもなら時間がかかる検査場の通過も待ち時間はほぼゼロでした。検査する乗客数が少ないせいだったのでしょうか、いつもなら引っかからない手荷物が要再検査に回ってしまうというプレミアがつきました。結局、中に入れていたメモリーが問題だったようで、いつものことなのにと私の頭は???です。伊丹の検査場通過、いつもは楽勝なのですが、時間があるぶん本気だったみたいです。また、通常なら満席に近いANAの機内も1列に一人か二人という状況でしたし、羽田空港も人はまばらでした。あらためて政府の意図が十分に浸透していると感じました。

 3月といえば本院でも大きな節目で3月末をもって退職して4月から別の職場に異動する職員が少なからずおられますし、この3月でめでたく定年という職員もおられます。本来なら盛大に送別会、慰労会が行われるところですが、この状況では中止もやむを得ないところです。また、大学生の諸君、とりわけ最終学年の方は卒業です。いつもなら卒業式ラッシュでこの時期梅田の地下で袴姿の女性の集団に遭遇することも珍しくありませんが、このような状況ですので大学の卒業式の中止も相次いでいます。私の高校の同期には大学の教授となった方々も多いのですが、そのメーリングリストからはほとんどの大学で卒業式の中止が決定されたことが報告されておりました。その中でタダ唯一大阪医大は卒業式を行うとのこと、卒業式だけはしてやりたいという学長の強い思いだそうです。学長さん、男ですよねえ。医師のひよこ達からクラスター(集団)感染が起きなければいいのですが。