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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
新型肺炎
2020年2月3日 つぶやき130
 中国の武漢で発症したコロナウイルス肺炎が世界中、広範囲に広がる様相、いわゆるパンデミック状態になりつつあります。日本でも武漢からの帰国者だけでなく、中国に行ったこともない人の感染例が報告されています。東京のみならず、大阪でも感染が現実的な問題となるのは時間の問題でしょう。

  その新型肺炎の特徴ですが、中国の医師からの最初の報告では以下の特徴があるとのことです。簡単に羅列すると、
1. 男性に多く、ほぼ4人に3人が男性。
2. 患者の3分の2が海鮮市場と関係があった。
3. 症状として発熱はほぼ必須で次に咳が一番多くてほぼ4分の3、インフルエンザでよく見受けられる筋肉痛はほぼ半数だが、消化器症状は少ない。
4. 全症例で胸部CTにて肺炎像が認められる。
5. 半数以上で呼吸困難がある。

 これらのデータは武漢市の病院に入院した患者、41名の初期段階のサマリーです。したがって、ここまで大きく広がった現在の状況と一致するかどうかは何とも言えませんが、特徴的な点をあげるならば、男性に多いということ、半数以上に呼吸困難症状があるのは重症化しやすい肺炎かもしれないという懸念が残るくらいで、それ以外はそれほど取り立てて言うほどの特徴ではありません。既に感染源が海鮮市場と同定されたようですし、ニュース等が伝えるところでは既に閉鎖されているとのこと。

 ここまで感染が大きくなった原因は初期対応の杜撰さであることは小学生でもわかる話でしょう。中国という国は共産党一党支配ですので、武漢の閉鎖などは政府がひと声をあげれば日本なんかよりもはるかに徹底させられるはずというのが私の認識です。しかるべきタイミングで閉鎖していればこれほどまでには広がらなかったでしょうし、言い換えればそれがすぐにできなかったことは一党支配が故のほころびなのかもしれません。

 さて、今の私達にとってはどうすれば予防できるのか、その答えがほしいところです。ウイルス感染症といえば予防接種ですが、現在コロナウイルスに対するワクチンはありません。作ることは理論的に可能ですが、この冬に間に合うかはほぼ絶望的です。ここは他力本願ではなく、自力で対処するしかありませんが、コロナウイルスに特異的な方法はありませんので、コロナウイルス対策というよりこの時期のもう一つの脅威であるインフルエンザ対策と同じにすればいいと思います。例えば外部の接触を一切断ち切る目的で家に引きこもるのが予防策としては一番シンプルな方法ですが、仕事もあるし現実的には不可能です。せめて不用意に人ごみに入らないことは心がけたいです。次にテレビ等でも呼びかけられていますように外出時は感染者からの飛沫等から自らを守るためマスクの着用が現実的な対応と言えます。事実、最近大阪の地下鉄でもマスク着用の人が日増しに増えています。

 一般論ですが、ウイルスに感染したら、全例発症するか、といえばそうではありません。私達には生まれながらにして外部からの侵入者から身を守る免疫という機能があります。その機能を高めておく、また高められなくても落とさないようにすることは自己管理である程度可能です。一般に言われている方法をいくつかあげますと1) ストレスの軽減、2) 十分な睡眠、3) 朝起きたら朝日を浴びましょう、4) 朝食には発酵食品(ヨーグルト、みそ、漬物など)を取りましょう、5) 昼食ではタンパク質をしっかり取りましょう、6) 夕食は食べすぎないよう(腹八分目)、7) 軽い運動(例えば一駅歩きましょう)、8) お風呂には入りましょう、9) 無理は禁物、体力の温存、10) 熱中できる趣味を持つ、等々です。まあ、一言で言えば肉体的にも精神的にも健康的な生活をすることに尽きます。ただ、言うのは簡単ですが、私達、病院職員は仕事柄ストレスは多いし、残業はあるし、夜勤もあるし、等々でそうやすやすと健康的な生活を実践というわけにはいきません。かくいう私も夜中の緊急手術等でたまには徹夜もしますし、十分な睡眠がとれているかといえば怪しいし、朝は早いので冬の起床時、通勤時には太陽の姿はありません。物理的にできないことは仕方ありませんが、食事と運動はやろうと思えばできますので日ごろから実践しています。今からほぼ2年前の”つぶやき”に明治のR1ヨーグルトがインフルエンザ予防に効果的という医学論文を紹介しましたが、それは今でも実践中でもうかれこれ3年以上続けています。ヨーグルト1個125円ですので積もり積もれば結構な額になりますが、そのおかげかどうかはそう信じるしかないですが、ここ数年インフルエンザとは無縁です。同じウイルスですので、コロナにもきっと有効だろうと自己暗示をかけています。楽観論はストレスが減りますのできっといいはずなんです。