メニュー
副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
コロナ第2波
2020年9月4日 つぶやき137
 9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続きます。9月になっても昼間は30°Cをゆうに超え、熱中症に注意しなければならないのは私が中高生の時はちょっと想像できないことです。9月に入いれば、ちょっと秋っぽい風に揺られあと1か月かそこらで運動会、それが終わり、ちょっと肌寒くなるころには文化祭と一番イベントが続き、ちょっと勉強を忘れてしまう季節の到来でした。

 夏の暑さに伴いインフルエンザ同様にもしかしたら新型コロナ感染が抑制されるのではないかという甘い期待は第2波の登場で砕かれました。感染者の数だけ見れば、第1波と呼ばれた4月ごろよりも格段に増加しています。その数字だけで判断すれば第1波より重大と言えますが、医療現場に緊迫感は第1波ほどではありません。それはPCR検査の数が特段に増えたことで無症状や軽症の感染者をとらえているので数が増えたためというのが一般的な解釈です。事実、重症の患者さん(ICU入室患者と言い換えることもできます)や死亡患者数は第1波に比べても多くないのが現状です。東京都や全国の新規感染者数の数も8月の頭をピークに徐々の低下していますので、おそらく第2波は終息に向かっているといえるでしょう。大阪もちょっと大きな波が来ましたが、東京に追随して新規感染者の数も減少傾向です。ここで第2波が収束したとしてこのまま感染が収まってくれればありがたいですが、専門家の意見やマスコミの報道にもありますが、冬に向かい温度の低下とともに再度ウイルスの活動性が増すことは想定しておかねばなないのことは間違いないところです。

 最初はどんなウイルスか暗中模索の感がありました。普通のかぜと変わらんという楽観論から季節性インフルエンザくらいは毒性があるんじゃないか、インフルエンザは治療薬があるが、新型コロナはないのでちょっと厄介、さらにはいやいやこれは結構毒性が強いからきっちり封鎖しないと大変なことになるという悲観論までありました。確か京大のiPs細胞の山中教授でしたでしょうか、10万人が亡くなる、と警告されていたように思います。幸い、昨日まで(9月2日)までの統計では感染者の合計が69741人、うち死亡が1327人とのことですから、感染者の死亡率はほぼ2%となります。山中先生の予想はいい意味ではずれてくれました。今後PCR検査が拡充されるとさらに無症状や軽症の感染者が増えると思われますので死亡率はさらに下がると思われます。とはいっても、この2%という値は少々気になります。おおまかな数字ですが、季節性インフルエンザの感染者の死亡率は0.1%程度とされていますので、今の先新型コロナの死亡率も下がるだろうと予想しますが、この2%はまだ決して油断できる数字とは言えません。

 第1波、第2波、そして非常事態宣言を経験して、今できる重症者への治療はいくつかわかってきたように思います。次に第3波が来た折の課題の一つが軽症者の処遇だと思います。一人の有症状の感染者が出ると、その周囲の方々は自分の感染の有無が気が気でないはずです。PCR検査が拡充されるにつけ、当然陽性患者は増えるはずですし、その多くは軽症、あるいは症状のない方々になるのではないかと思います。現在新型コロナは指定感染症に指定されており、その扱いは二類感染症に準ずるとなっています。感染症法で感染症は一類から五類まで重篤度に準じて五段階に分けれていますが、二類感染症に分類されているのは結核やSARSであり、これらと比べると新型コロナの毒性は劣るように思います。指定感染症ともなれば、感染者やその周囲への影響は大きく、社会活動も制限されます。マスコミ等では新型コロナを第二類から外す議論が始まったとありますが、私はそれが妥当と思います。新型コロナ、様々な変異型を有し、様々な毒性を有していることは明らかですので、そのうち毒性が高い一部のウイルスはきっちりと抑え込み、そうでないかぜ程度の軽症のウイルスは”野放し”、いわゆるウイズコロナでいいと思います。もうすぐ新しい首相が決まり、新しい内閣が構成されます。新内閣の一番の課題はコロナ対策、国民の活動を維持しつつ、感染をいいくらいに抑え込む適切な政策をお願いしたいものです。