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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
アメリカ麻酔学会珍道中
2016年11月4日 つぶやき91
 今回は久しぶりに麻酔科のお話をと思います。

 毎年10月の第3週の土日を挟んで水曜日までアメリカ麻酔学会が開かれます。本年は10月22日(土)から25日(水)までシカゴで開催されました。私は大学病院から”半澤直樹”風にいえば、片道切符の出向で本院に来て2年が経過しました。その間に研修医の先生と少しずつ蓄えてきた臨床データが学会発表に耐えうる程度になりましたので、彼ら2名に発表してもらおうと、今回2題の演題を提出しました。運よく2題とも受理していただき、先週シカゴまで出かけてきました。アメリカの麻酔学会はもちろんアメリカの国内の学会ですが、世界の各国からの発表があり、まさに国際学会のいでたちです。私が最初にアメリカ麻酔学会で発表したのは1987年でラスベガスでした。当時は日本からの発表はほとんどなく、会場で日本人に会うこともありませんでした。それから30年、今は学会場で日本人に会わないことはありません。

 シカゴは五大湖のひとつ、ミシガン湖の南にある有名な大都市、よくもまあこんな内陸に大きな町を作ったもんだとつくづく感心します。シカゴはビジネスシティーで、観光都市とは言い難く、博物館とかに興味がある方でないとあまり長くは居たくないのが本音です。2名の発表は25日(火)の午前の予定でした。私は基本、現地集合、現地解散で、発表の前日にシカゴに入りました。今回も2名の研修医には発表に間に合えば何処で何しててもええよ、と伝えていました。出発前に十分な予行をしていましたので、発表(もちろんEnglishで発表ですよ)は無事終了。最後に私達の発表のセッションの2人の司会の先生と研修医2名を記念写真に収めて(下の写真です)、私は長躯ロス経由で帰国しました。これだけだとアメリカで1泊というまさに弾丸ツアーですが、いえいえそんなはずはありません。シカゴには日本からいくつか直行便がありますが、今回はあえてシアトル経由で行きました。シアトルはかってはイチローが、今は楽天のエースだった岩隈がいるマリナーズのホームタウンで日本人には比較的なじみがある町、そこでちょっと骨休めというわけです。シアトルには飛行機の最大手ボーイング社があります(ちなみにマイクロソフトの本社もシアトルです)ので、その工場見学ツアーが目的の一つです。ガイドはもちろん英語だったのでところどころしか理解できませんでしたが、工場内でまさに組み立てているのはボーイング747だと言っていたような。私は機体をみたらその機種を言えるような飛行機通ではありませんし、747は最新鋭ではないので私の聞き間違いかもしれませんが、その胴体部分には日本のメーカー(Fuji, Mitsubishi, Hitachiだったかな、歳とるとだめですね、すぐ忘れます)のものが使われていたのには、少々驚きと誇りを感じました。その後、シアトルのダウンタウンにあるスターバックスコーヒー1号店でお土産用にその店のオリジナルコーヒー豆を買い込んで、シカゴに入りました。要はシカゴにはこれと言った土産がないので、シアトルに寄ったというところです。帰りも直行便に乗れば早いのですが、あえてロス経由にしました。カリフォルニアに行かないと手に入らないお気に入りのチョコレートを買うためです。See’s Candyと言います、サンフランシスコにある会社でCandyと銘打っていますが、実はチョコレートです。有名なハワイ土産にマカダミアンナッツのチョコレートがありますが、それより美味ですよ。

 さて、海外の学会参加する時は観光用のJTBや近ツリのツアーは使えませんので、旅行会社に頼んで飛行機のチケットを手配してもらい、ホテルの予約は今やインターネットです。最初に海外に出かけた当時、もう30年以上前ですが、国際電話か、郵便か、現地調達でしたので、今は便利です。昔は本当に予約が取れているかどうか、宿があるかどうかは現地に着くまで正直不安でしたし、まあそれも旅の楽しさでもありました。観光旅行なら少々のトラブルもまあwelcomeと言いたいところですが、今回は仕事?ですので、そうはいきません。アメリカの都市は安全な場所と危険なところが混在しており、日本からでは十分な情報は得られません。シアトルは現地在住の知り合いから聞いて、このあたりなら大丈夫というところのモーテルを予約し、シカゴは普段なら泊まらないハイレベルのホテルにしました。ちなみにシカゴのホテル代はシアトルのほぼ4倍でした。要は安全をお金で買うという感覚です。さすがに、いいホテルは思いのほか快適でしたので、この感覚はちょっと麻薬のにおいがします。さらに、飛行機のチェックインも日本なら1時間前でもまだですが、3時間前という念の押し用でした。医療の世界でもそうですが、安全は何にも代えがたいものですし、それに少々の費用がかかるのは自明です。今回の旅費も少々張りましたが、まあ無事に終わって帰ってこられたのだからよしとしたいのです。でも、”うーんちょっとねえ”という気持ちでモヤッとしているのも否定できません。

 最後にちょっと”安全”をキーワードに宣伝です。この11月20日(日)から26日(土)まで医療安全推進週間が設けられています。当院でもこれに合わせて「患者様のお名前の確認」を徹底することが決まっています。お名前の確認は医療安全の基本中の基本ですが、その徹底から患者様には何度もお名前を聞くことで”しつこいなあ”と思われるかもしれませんが、何卒ご理解とご協力をお願いいたします。

写真右より研修医の和田先生、佐藤先生、司会の先生2名

写真右より
研修医の和田先生、佐藤先生、司会の先生2名