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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
集中治療科の設立
2019年6月10日 つぶやき122
 今月は当院麻酔科の話題といいますか、宣伝です。

 厳密に言えば4月1日付けの話ですのでもう2ケ月も昔の話です。3月まで麻酔科の短期心臓麻酔研修をされていた藤本先生が集中治療医学会の専門医を持っておられたので、研修修了とともに常勤として残っていただき、新たに集中治療科を立ち上げました。

 集中治療という言葉、ちょっとわかりにくいかもしれませんし、そんな名前の科は聞いたことがない、と思われた方も少なからずおられるでしょう。麻酔科から派生した専門分野なのですが、麻酔科そのものの知名度も最近になってようやく認識されつつあるくらいですから、すぐに理解していただけないのも仕方のないところです。その主な仕事は重症患者の全身管理です。本院6階には集中治療室(ICUとも言います。英語でintensive care unitの頭文字を取ったものです)と呼ばれる病棟がありますが、そこが主な仕事場です。大学病院などの大きな総合病院では必ずICUがありますし、市民病院等の地域の中核病院のほとんどにもICUはあります。本院は心臓血管の病気に特化した専門病院で、重症心疾患のカテーテル治療や心臓外科手術は毎日のように行われています。病院としては小さな規模ですが、やっていることは大学病院やナショナルセンターと遜色はありませんし、大学病院から異動してきた私の目から見て、技術的には阪大病院をしのぐように思えます。”技術的に”と言いますと医者の能力が大学病院より優る、というように思われますが、医療現場の診療レベルは医師にだけ依存するわけではありません。我田引水ですが、本院については診療を支えるパラメディカルと呼ばれる職種(看護師さん、臨床工学技士さん、放射線技師さん、理学療法士さん、臨床検査技師さん)のレベルが大学病院をはるかに凌駕している点が大きいですね。話を本題に戻しますが、その術後の患者さんや内科の患者さんで心臓や肺に重症の疾患がある患者さん等、毎日結構の数の重症の患者さんがおられます。その患者さんを収容し、集中的な治療を行うのがICUになります。

 理想を言えば、集中治療を専門とする医師が24時間、全ての重症患者の治療にあたるのが一番いいのですが、それを実行するにはかなりの数の集中治療の専門医が必要ですので、現状では夢物語です。現在、それができるのは大学病院か大病院(大阪府で言えば大阪府立急性期医療センターや大阪市立総合医療センターなど)に限られます。少ない人数ですので、月並みですが、まずはできることから少しづつ、それからできることを徐々に広げていければと考えています。

 あと数年もすると本院も50年以上慣れ親しんだ西梅田から中之島地区への移転が予定されています。その折に集中治療医学会からの認定施設を得ることがまずは短期的な目標です。その頃には私はもう定年退職していると思いますが、後任には阪大の医局から集中治療の専門医が来てくれる予定ですので、新病院ではより充実した重症管理が行われるものと思います。

 早急に本院HPの麻酔科欄を書き改めねばと思いつつ、なかなか業務に追われてその余裕がなく、まずはこの”つぶやき”でのお知らせです。6月1日に年に一度のイベント、日本麻酔科学会が終わりましたので、すこし心と時間の余裕ができましたので、HPの改定に動きたいと思います。