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副院長のつぶやき
副院長 林 行雄
学会シーズン
2019年10月9日 つぶやき126
 まさかのタイガーズのクライマックス進出。中日との最終戦はカープファンには申し訳ありませんが、ネット上で竜虎同盟と揶揄されるくらい見事な息のあった試合運びでした。夏の雨のおかげで残っていたのが中日にとっては消化試合、これも甲子園がドームでない恩恵とも言えます。今シーズン、中日さんには痛い目にあいましたが、最終戦での恩義を考慮すればこれでチャラと言われても反論の余地はありませんねえ。

 9月になれば、毎年のことながら、学会シーズンの幕開けです。麻酔科はまだ少ない方かもしれませんが、内科の先生方は何かと大忙しだと思います。学会一つの行くにも交通費、宿泊費に学会の参加費とそれなりの出費です。大学にいると何回行こうが、出張費が出ますのでいいのですが、民間の病院となるとおのずと上限がありますので、今は必要最小限に留めています。麻酔科の秋の主だった学会は9月の頭に日本麻酔学会関西支部集会があり、その2週間後くらいに日本心臓麻酔学会、10月にアメリカ麻酔学会、11月の日本臨床麻酔学会が主だったところです。その合間をぬって小規模の学会、研究会もありますので、全部に顔を出すと“どの週末にゆっくりするの?”と言われそうです。当院はご存じのとおり心臓疾患に特化した病院ですので、麻酔学会関西支部集会と日本心臓麻酔学会は必須で、毎年演題を出して学会発表をしています。昨年はこれにアメリカ麻酔学会の会場がサンフランシスコと場所柄もいいので発表をしてきましたが、今年はオーランド(フロリダです。ディズニーワールドがあるので家族を連れて行くには絶好ですが)で、如何せん遠いので今年はパスです。

 ここからはちょっと当麻酔科の自慢話におつきあい願います。今年の関西支部集会ですが、当院の高田先生が発表した研究が最優秀演題に選ばれました。最優秀の選考過程としては応募演題から6題が優秀演題に選ばれ、学会当日にプレゼンのコンペが行われてうち1題が最優秀に選ばれるというものです。これまでに優秀演題にノミネートされたことはありましたが、最優秀に選ばれることはなかったので桜橋渡辺病院の初受賞です。研究の内容はこの場では割愛させていただきますが、学会当日のプレゼンの内容で評価が定まるため、いつも以上にプレゼンの予行に時間を割きました。言い換えれば最優秀を本気で取りに行きました。学会ではプレゼンの時間は**分と決められています。これは普通のすべての演題に課される規定なので、普段から気にしながら若い先生の発表を指導してきましたが、学会発表を一度でも経験した先生であれば、1秒、2秒を気にすることもなく、“まあそんなものでいいでしょう”と言う程度で終わっていました。しかしながら、今回は久しぶりに“秒”を気にしながら発表原稿や当日の発表スライド作成につきあいました。正直、こんなに真面目に取り組んだのは大学を離れてから初めてです。大学では研修医の先生方に学会発表を経験させることが研修の一環で、彼らも生まれて初めての学会発表ですので、手取り足取りの指導となりますし、思い起こせば自分も同じように教えてもらいました。発表原稿を書かせて、実際に読ませて、こちらはストップウォッチをもって時間を計る、それが当たり前でしたが、今の病院で働いてくれている若手の麻酔科医はこれまで複数回の学会発表をこなしています。したがって、2,3ポイントを指摘すれば、あとはお任せでも無難に発表をこなせますのであまりこまかいことは言っていません。しかし、今回ばかりは研究内容もよかったので、プレゼンを上手にこなせば、てっぺんが狙えるという確信もあり、普段以上に気合も入りましたし、大学のころを思い出したりもしました。

 先に述べましたが、大学での研修医の初めての学会発表では彼らも初めてのことで当然のことながら右も左もわからず、言われるままに準備しますが、その中で笑えないエピソードも生まれます。その中で彼らもテンパっているので普段の冗談が通じないことがあると反省したものをひとつ。初めて発表する研修医にとって一番の不安材料は発表が終わってからの質疑応答です。事前にそれなりに想定問答をしておきますが、想定外の質問は当然来ます。それをどういなすか、も研修医の器量といえますので、指導する立場としては想定外の質問はwelcomeなのです。そのころの私は指導の最後に分け隔てなく“もし、答えがわからなくてヘルプがほしい時は演壇から適当にブロックサインをしてくれたら、私が代わりに答えるから”と言っていました。もちろんジョークだとわかってくれていると想定しことですが、これがある研修医には通じなかった。本当に演壇でそれとわかるくらい(プロ野球の3塁コーチよりも派手に)のブロックサインをしてくれたので会場はもちろん大爆笑。それ以来、このジョークはやめました。学会発表につきあうことはそれなりに面倒ですが、楽しい思い出をたくさんもらいましたので、引退までこれからも続けていきたいと思っています。