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放射線科
放射線科について
放射線科では15名の診療放射線技師が、一般撮影、CT撮影、カテーテル業務、画像解析業務、健診業務を行っています。
導入装置として、一般撮影装置2台、TV透視撮影装置1台、MDCT2台、アンギオ装置3台、外科用イメージ1台、回診装置3台を有しています。
CT

心臓MDCT(マルチディテクタCT)検査について

画像処理技術とコンピュータ技術の進歩には、めざましいものがあり、循環器領域においても、画像診断、特にCTは、非侵襲的心臓画像診断法として、広く臨床の現場で使用されるようになりました。わずか数秒の心臓全体のスキャンで、冠動脈血管内腔や冠動脈壁が鮮明に見られるようになり、患者さまの負担も軽減され、検査時間も短縮できるようになりました。

2006年より当院でも、64スライスCT装置を導入し、これまで、わずか数秒の心臓全体のスキャンのデータから、冠動脈の狭窄、プラーク(動脈硬化病変)の同定、心機能評価、心筋性状などの情報を患者様に提供してまいりました。

さて、2010年6月に第二CT室の増設ならびに、被ばく低減のできるBrilliance256 iCTを導入しました。このたび、2021年11月から第一CT室に心臓に対応して幅広い検出器をもつ、最新のDual layer&Dual energyのPhilips社製のSpectral CT 7500を導入しました。日常診療における心臓画像診断の精度向上ならびに安全性の向上、さらに地域医療貢献に向け、よりスピーディでスムーズな心臓CT画像検査診断が可能となり、患者さまの利便性の向上、ならびに主治医の先生方へのクオリティーの高い心臓画像診断情報の提供ができるよう、努力しております。

最新心臓CT検査機器の特長

第一CT室に導入しましたPhilips社製のSpectral CT 7500の大きな特長は、心臓に対応した80mmの最大検出器幅に増幅したこと、さらに、最大の特長は、このディテクターが2層構造を持ち、一度の撮影で位置ずれなく2種の管電圧エネルギー(高いエネルギーと低いエネルギー)を収集でき、結果として、MonoE(仮想単色X線画像)、Iodine no water(ヨード密度強調画像)、Iodine density(ヨード密度画像)、Virtual non contrast(仮想単純画像)、Z Effective(実効原子番号画像)、Calcium Suppression (カルシウム抑制画像)、Electron Density (電子密度画像)など様々なスペクトラルイメージの生成が可能となり物質弁別能が向上いたします。

また、これまでの256Slice iCTの技術も継承され、最速の0.27秒/回転(最高時間分解能27msec)であること、また、低被ばく対策、Beat to Beat™ Variable Delay AlgorithmとMaxCycle™機能との併用で、広範囲をより高速に、きわめて低被ばくでの撮影が可能です。

第一CT室と第二CT室

第一CT検査室 第二CT検査室
第一CT検査室 第二CT検査室
装置 : Spectral CT 7500 装置 : Brilliance 256 Slice Helical CT

1Fに第一CT室、第二CT室があります。

PRVR画像1枚目 PRVR画像2枚目
Photo realistic volume rendering (PRVR)

Spectral CT7500の寝台移動速度は、最大で秒間 60cm で Brilliance iCT と比べ3倍速く、また 撮影速度は秒間30cm以上で2倍弱の速さとなっており、息止めも数秒でこのような撮影ができます。

造影CT検査に使用される造影剤

  • イオパミロン370 (Iopamidol)
  • プロスコープ370 (Iopromide)
  • イオメロン350 (Iomeprol)
  • オムニパーク350 (Iohexol)
造影剤の副作用について

0.1~5%未満で悪心、嘔吐などの軽度の副作用が見られます。また、0.04%未満でこれより重篤な副作用が見られることがあります。

検査を受ける患者様の検査前後の看護ケアーは、これまで当院で、5万人以上の患者様の心臓CT撮影のケアー実績をもつ専門スタッフが対応させていただきます。不明な点がございましたら遠慮なく声をおかけください。放射線科技術スタッフと協力しながら、対応させていただきます。

心臓CT画像解析の充実

従来、心臓CTは、冠動脈有意狭窄病変の除外診断からはじまり、冠動脈の有意狭窄病変や閉塞病変の検出を行っておりましたが、桜橋渡辺病院画像診断科のデータベースから、これらの有意病変の検出は全スキャンの約20%程度にすぎないこと。さらに、急性冠症候群の発症の70%は、50%程度の軽度から中等度の狭窄病変から発症することの報告を考慮して、データベースを見ると、有意狭窄病変を合わせた軽度~中等度狭窄病変を持つ患者さまは、全スキャン中、実に約75%の患者さまにのぼることがわかりました。プラークの存在する非閉塞性病変は、プラークの存在しない血管と比べて、リスクが高いと言われています。

心臓CT画像を動脈硬化診断に生かす時代に対応した選べる2つのCT検査(インターネット予約対応)
(1)非造影冠動脈硬化検査
〜 カルシウムスコア・メタボリックシンドローム検査 〜

石灰化病変については、今日のメタボリックシンドロームの診断とあわせて、石灰化スコアの検査を単体で予約できます。石灰化スコアは、長年のEBCT等でのエビデンスの蓄積があり、なによりも、低被ばくで、造影剤を使わないため、患者さまを選ばない検査です。

非造影CT画像で、CT値が130HU以上のものを冠動脈壁の石灰化といい、それを計測したものを石灰化スコアといいます。石灰化スコアは局所動脈硬化判定というより、むしろ冠動脈全体(心臓全体)の動脈硬化を反映する指標であります。造影剤を使用することなく、わずかの放射線被ばく(内臓脂肪測定時の被ばくと同等)と短時間の検査で、冠動脈リスク患者さまの動脈硬化進展の程度を治療前に評価できる有用な方法です。

組織学的にも石灰化プラークの存在下では、その約4~5倍の非石灰化プラークが存在するとの報告もあり、冠動脈疾患の合併の検出においても、高い感度と特異度を持つ点から、スクリーニングの役割として十分期待されます。さらに、薬物治療において、未治療患者さまの、石灰化ボリュームスコアが年率30~35%以上増加するという報告や、最近の高空間分解能のCT装置による再現性の改善から、十分に動脈硬化治療の指標として無症候性のリスク重積患者さまのフォローアップに使えると考えられます。

石灰化スコアの算出法はAgatston score、Mass score、Volume scoreの3つの方法があります。一般的にリスク評価は、Agatston scoreが用いられ、フォローアップの比較時にはVolume scoreが用いられます。

石灰化の意義は…?

  1. 石灰化は、動脈硬化分類でVbの進行病変である。
  2. 石灰化は、加齢による退行性変化ではなく、血管の動脈硬化の存在自体を反映し、正常血管に、石灰化は認めない。
  3. 一般的に男性が50歳、女性は60歳から次第に石灰化が増加するといわれている。
  4. 糖尿病等の冠動脈リスクファクターの合併により、若年層から増加してくる。
  5. 未治療患者においては、Volume Scoreにおいて30~35%増加する。

ちなみに、透析患者では、年齢と透析期間とが相関するといわれており、古典的な冠動脈リスクファクター(糖尿病・高血圧など)と無関係に石灰化の進行を認める。

組織学的検討から、必ずしも、冠動脈狭窄の程度、部位は一致しないが、総動脈硬化量とよい相関があります(下図を参照下さい)。一般的に、調節不能な危険因子は、年齢・性別・人種・家族歴、調整可能なものは、脂質代謝異常・糖代謝異常・血圧・喫煙・体重などがあります。臨床的に、年齢不相応な石灰化所見の影に、危険因子が隠れていることを考えておくことが大切であります。また、リスク重積患者は、リスクの数により石灰化スコアが増加し、心筋梗塞の発症も増加すると報告されています。一方で、年齢性別を問わず、石灰化0の患者については、リスクが低いと報告されています。さらに新しいSPECTRAL解析により、従来石灰化と思われていたところに混じって尿酸ナトリウム(MSU)の沈着を大血管や冠動脈で確認できるようになりました。

造影剤を使わない石灰化プラーク
造影剤を使わない石灰化プラーク造影剤を使わない石灰化プラーク
冠動脈や大動脈に石灰化に混じって尿酸ナトリウム(MSU)の沈着(緑色)を認めます。上段は通常のConventional ImageにUric Acid ImageをOverlay表示している画像。
冠動脈や大動脈に石灰化に混じって尿酸ナトリウム(MSU)の沈着(緑色)を認めます。上段は通常のConventional ImageにUric Acid ImageをOverlay表示している画像。

また、内臓脂肪の定量測定については、正確な測定を行うことで、その増減についてデータを提供できます。治療薬剤の中には、内臓脂肪が減少しているにもかかわらず、皮下脂肪の増加により腹囲に変化が見られないこともあり、患者さまの治療指針や生活指導に正確な内臓脂肪測定をお勧めいたします。

内臓脂肪測定

ご紹介時に、病院での確定リスク病名や検査データをご送付いただけますと、詳細なデータ解析が可能と考えられます。なお状況により、血液検査を追加させていただく場合もございます。

(2)造影冠動脈CT検査
~非石灰化プラークに対する解析~

従来より行ってまいりました、冠動脈の狭窄度やプラークの形態評価と、左室機能や心筋の機能的評価は、引き続き行ってまいります。これらの検査に加えて、非石灰化プラークに、プラーク量、Remodeling Index, Low attenuation plaque, Napkin ring sign, 小石灰化など急性冠症候群に関わるプラークの評価のみならず、成分分析を行い、生活習慣改善治療指導や薬物治療後のプラークの進行や退縮による成分変化を臨床現場に提供しております。

非石灰化プラーク ヒストグラム評価(プラーク進行と退縮)
プラークの進行(ヒストグラム評価)
プラークの進行(ヒストグラム評価)
プラークの退縮(ヒストグラム評価)
プラークの退縮(ヒストグラム評価)

非石灰化プラーク 成分割合評価(スタチン治療後の成分変化)
冠動脈のプラーク(成分分析評価)
非石灰化プラーク 成分割合評価(スタチン治療後の成分変化)

これまで、当院で検査を受けられた患者さまのRawデータ、DICOMデータは全てデジタル保管されており、初回で、非石灰化プラークが検出された患者様の2回目以降の検査には、必要に応じて前回比較がレポーティングされます。

レポーティング

今回の高時間分解能のCT導入により、モーションアーチファクトの少ない画像収集が期待され、より精度よく評価できます。

炎症イメージングマーカー FAIの解析(New)

包括的な炎症イメージングマーカーの報告が、Lancet誌で報告されて以来、最近では、冠動脈血管の炎症の新しいバイオマーカー、perivascular fat attenuation index(FAI)が利用されています。Vessel borderより外側で、石灰化などの影響を受けることなく血管周囲脂肪のCT値を測定し、血管周囲のFAI高値は、イベント発生を予測できる炎症バイオマーカーとして報告されており、イベント発生が急上昇するFAIの最適カットオフ値は、-70.1 (HU)とされています。FAIの機序を簡単に説明すると、正常血管は、大きな脂肪滴のため、低いCT値をとります。炎症により発生する、サイトカインにより脂肪蓄積が抑制されると小さい脂肪滴とになりそれとともに、CT値が上昇します。図は、左冠動脈(LAD)Seg#6-7、右冠動脈(RCA)Seg#3に石灰化を伴う50%以上の有意狭窄を認め、右冠動脈でACSを発症した重症虚血の2枝病変の症例である。炎症イメージングで、RCAの方が炎症が強く重症でありました。炎症イメージングは重症症例の階層化やプラークの炎症の治療評価ができる可能性があると考えられます。 Sci Transl Med 2017; 9: eaal2658 European Heart Journal (2020) 41, 748-758

冠動脈炎症イメージング(256Slice iCT画像)
冠動脈炎症イメージング

左前下行枝に虚血の無い非有意狭窄病変を認めます。非石灰化プラークに対し脂質低下療法を行い、LDLコレステロールを50mg/dlにコントロールした。治療前後のCTAで、Plaque Volumetric Analysisで34.5%のプラーク退縮をみとめた。視覚的にも狭窄度の改善とプラーク退縮を認めます(矢印白)。プラーク局所のFAIは-67.4から-72.8に改善し、画像からも黄色い部分が増えており、炎症が抑えられて、脂肪滴が大きくなってきたことが推測されます。

脂質低下療法によるプラーク退縮と炎症イメージングバイオマーカーの変化(256Slice iCT画像)
脂質低下療法によるプラーク退縮と炎症イメージングバイオマーカーの変化
Late Iodine EnhancementとCT-Derived ECV

一般に、Dual energy CTは、一度のスキャンで異なるエネルギーレベル(kv)のデュアル画像を取得することができ、物質の分離同定を容易にします。

さらに、Dual energyに2層スペクトル検出器(Dual layer)を使うことにより、完全に位置ずれのないデータ取得が可能となり、特に動く心臓の心血管イメージングに適しています。

また、 Dual energy CTによるヨウ素灌流マップは、心筋のヨウ素取り込みの定量化、または虚血および梗塞分析のための心筋組織の定性的評価が可能で、これらの技術により、遅延造影による心筋組織評価(Late iodine enhancement)やECVの定量化についても検証され実用化されてきました。

CTによる心筋組織評価(Late iodine enhancement)やECVの最初のアプローチは、造影剤の初期ボーラスとそれに続く平衡状態を作るため、ゆっくりとした注入を使用した造影前後のプロトコルで行われていました。この方法は、造影前の単純CT画像では心筋と血液の区別が難しく、このアプローチではしばしば位置ずれが発生し、ECVの定量精度が不十分であるため、心筋組織評価(Late iodine enhancement)による定性評価が行われていました。最近では、位置ずれを補正するECV分析方法も心臓CTで用いられていますが(図1、2)、やはり、この位置ずれは、ECV定量精度が不十分でした。そのようなことを考えますと2層スペクトル検出器(Dual layer)は画期的な構造と言えます。これまで、磁気共鳴画像法(MRI)で確立された画像技術ですが、最近の研究では、Dual energy CTが代替アプローチである可能性があることが報告されています。さらに、得られたLate iodine enhancement画像か得られた、ヨウ素マップからのヨウ素濃度のみを使用し単純画像(非造影画像)を生成することで、1度の撮影でECV計測が可能となります。

さて、臨床では、細胞外容量(ECV)画分は、びまん性の心筋線維化および心筋梗塞組織のパラメーターとして使用でき、心筋症のある患者のECV画分を推定することで、治療や予後に利用され始めています。CTによるECV評価は、コストや時間に優れ、閉所恐怖症の患者やペースメーカーなど困難な撮影にも対応でき、MRIの既知の制限を克服しながら、優れた可能性と精度を備えています。

  ECV on MRI ECV on CT P-value
健常人 26.34±0.90 26.32±0.90 ns
HCM患者 32.55±0.97 32.31±0.97 <.01
DCM 31.26±0.79 31.25±0.79 <.01
アミロイドーシス 53.40±1.19 53.45±1.19 <.01
サルコイドーシス 38.60±1.19 38.45±1.19 <.01
ECV(心内膜下梗塞と貫壁性梗塞の両方の合併) (256Slice iCTによる差分法解析)
ECV(心内膜下梗塞と貫壁性梗塞の両方の合併)
ECV(肥大型心筋症) (256Slice iCTによる差分法解析)>
ECV(肥大型心筋症)
ECV(心内膜下梗塞) (Dual Energy CT7500によるヨード法を使った解析)
ECV(心内膜下梗塞)
ECV(貫壁性梗塞) (Dual Energy CT7500によるヨード法を使った解析)
ECV(貫壁性梗塞)
ECV(肥大型心筋症) (Dual Energy CT7500によるヨード法を使った解析)
ECV(肥大型心筋症)
心不全の機能解析 Dyssynchrony

冠動脈の狭窄病変や血管壁の情報を提供することは、もはや、あたりまえの時代となり、さらに得られた膨大なデータをどのように解析して臨床に生かすかが大切な時代となってきました。SCCTから2009年に出たガイドラインの報告の項目で、データが得られている場合は、心機能解析を行うことが、推奨されており、iCTは、高速回転速度と256スライスでフルヘリカルスキャンを最大80%被ばく低減した撮影が可能で、その時間分解能も最大27msecでありCTの心機能解析が可能で、CRT治療に際して心機能解析(Cardiac Contraction Analysis) は、低左心機能患者を対象とした、Dissynchronyのチェックを行えるソフトウェアとして心臓血管センターの不整脈科で利用されております。

心機能解析(Cardiac Contraction Analysis)

現在、Philips社とのWork in progressとして心臓・血管センター画像診断科で開発を行っている、低左心機能患者を対象とした、Dissynchronyのチェックを行えるソフトウェアも本年より稼働中であり、虚血性心筋症・拡張型心筋症・左脚ブロック・心不全の原因精査などの患者さまにもCTのメリットがでてくると考えられます。

正常QRS患者
正常QRS患者
完全左脚ブロック(Contractionの遅れが観察される)
完全左脚ブロック

メタル処理フィルターを使って、CRT、ペースメーカーのリードからでる金属アーチファクトを処理する事で、死角のないCT画像から心機能のフォローアップに利用できる可能性がでてきました。

高時間分解能とBeat to Beat™ Variable Delay AlgorithmとMaxCycle™機能による高心時相分解能によりさらに精度よく心機能が解析されると考えられます。

Left Ventricular Cardiac Contraction Analysis (LVCCA) Case1
CRT治療の前後で前壁~側壁にかけての遅れが改善
CRT治療の前後で前壁~側壁にかけての遅れが改善した例
Left Ventricular Cardiac Contraction Analysis (LVCCA) Case2
CRT治療前後で左室駆出率(EF)が著明に改善した例
CRT治療前後で左室駆出率(EF)が著明に改善した例
被ばく低減技術iDose4を世界ではじめて導入。
今回、IMR技術でさらなる被ばく低減をを実現。

2011年4月4日、世界にさきがけて桜橋渡辺病院に、Philips社製の被ばく低減技術(iDose4)が導入されました。特長は、従来のCT撮影時の被ばくが最大で80%低減されることと、空間分解能が最大68%改善されることです。この技術を使うことで、従来の画質を維持しながら、極めて少ない被ばく量でCT撮影が可能となり、結果として、患者さまの被ばくが驚くほど少なくなります。世界で最初に当院に導入されたこともあり、各国の病院からも注目されております。被ばく低減技術(iDose4)による症例を下に示します。

iDose4イメージ
この患者様は、68歳男性、2010年10月5日に従来の撮影方法で撮影。過日、胸痛症状が出現したため、2011年4月12日に当院でCT撮影を行った。従来の撮影方法では、被ばく量は、DLP 657.7 mGy・cm(9.2 mSv )であった。今回、iDose4( Level 7 )を使うことでDLP 142.7mGy・cm (2.0 mSv ) となり、従来画像のクオリティーを維持しながら、78.3%の被ばく低減が実現された。
iDose4イメージ
この患者様は、84歳 女性、胸痛症状が出現したため、当院でCT撮影を行った。初回の撮影であり、Helical Scanを予定した。体格が小さいため、低被ばくの設定プランを作成した。従来の撮影方法による低被ばく撮影プランでは、被ばく量は、DLP 487.1 mGy・cm(6.8 mSv )であった。今回、iDose4( Level 7 )を使うことにより、DLP 106.3mGy・cm (1.5 mSv ) となり、画像のクオリティーを維持しながら、従来の低被ばく設定プランから、さらに、78.0%の被ばく低減が実現された。特に、iDose4は、7段階と多彩なレベル設定ができるので、小柄な体格の患者様は、積極的に最大の低被ばく設定を行っても、いわゆる、プラスチックイメージといわれる様な画像とならず、きちんと追随して画像が出来上がっていることがわかる(図上段および下段、白矢印は、冠動脈の狭窄部)。
iDose4イメージ
この患者様は、45歳男性、アブレーション治療のため、左房・肺静脈・左心耳・左房機能などと合わせて冠動脈の評価を行った。機能検査を含むため、Helical Scanを予定した。従来の撮影方法での計画では、被ばく量は、DLP 846.8 mGy・cm(11.8 mSv )であった。今回、iDose4( Level 6 )を使うことでDLP 299.2mGy・cm (4.2 mSv ) となり、従来画像のクオリティーを維持しながら、64.4%の被ばく低減が実現された。アブレーション後のフォローアップ時などには、Step & Shoot技術とiDose4を組み合わせることにより、さらに、従来の画質を維持したまま、低被ばくの撮影が、可能であると考えられる。
心臓カテーテル
カテーテル検査・治療とは、体の外からカテーテルという管を血管の中に通して、心臓や大動脈、下肢動脈などの血管疾患や不整脈疾患を診断・治療します。
当院ではX線血管撮影装置をカテーテル室に3台、手術室に1台有しています。
また、この検査・治療には、医師だけでなく看護師、臨床工学技士、診療放射線技師がチームとして携わります。各々が専門性を活かしながら、よりよい検査・治療を行います。その中でも我々診療放射線技師は、日本血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師認定機構に認定された専門技師を中心に、放射線被ばく管理、装置管理、画像支援、血管内イメージング(血管の中を覗き込み画像化する装置)の判読などを積極的に行っています。

心臓カテーテル
一般撮影・透視
一般撮影とは、みなさんが腹痛や足の痛みなどを訴えたときに撮影するX線写真のことです。
当院では主に胸部・腹部の一般撮影、重症患者さまの病棟ポータブル撮影、X線TV装置による胃や大腸のバリウム造影検査、手術室における外科用イメージ装置操作などを行っております。すべてデジタル化により、従来の約半分の量の被ばくでの検査が可能になりました。
より良い画像を提供するために私たちは日々努力をしておりますが、患者様のご理解とご協力がどうしても不可欠です。脱衣や着替え、撮影体位、呼吸停止などでご協力をお願いする事がありますので、よろしくお願い致します。また、妊娠中の方、または妊娠の可能性のある方は撮影の前に担当技師に一言お知らせください。

一般撮影装置 X線TV装置
■ 一般撮影装置 ■ X線TV装置
検診
2007年7月より、大阪駅前第3ビル診療所にて健診業務を担当しております。業務内容としては、胸部撮影と胃部X線撮影および骨塩定量(MD法)です。健診についてはメディチェックサービスにお問い合わせください。
放射線被ばくについて
放射線には自然放射線と人工放射線の2種類があります。自然放射線とは、われわれが日常生活において宇宙や地面から被ばくする放射線のことで、年間約2.4mSvの放射線を受けています。人工放射線とは、病院の検査や治療に使われる放射線、工業や原子力発電所に伴う放射線のことを言います。
上記のことを踏まえて、みなさんが一度は撮影したことがある胸部X線撮影について考えてみましょう。病院で胸部X線撮影を1回行うと約0.1mSvの被ばくとなります。これを自然放射線と比較しても1回の被ばく量は微量です。また、人体が大量に放射線を受けて影響がある量は200mSvを超える量です。胸部の写真1枚が約0.1mSvですので、200mSvになるには約2000回撮影しなければなりません。このことからも、被ばくに対してあまり過敏に心配する必要はありません。
放射線検査は大切な検査で、患者様のいろいろな身体の情報を与えてくれます。被ばくというわずかな危険を避けるために、病気の診断・治療が遅れて取り返しのつかないことになってはなりません。放射線検査は病気の診断には欠かすことのできないもので、安全性もしっかり管理されておりますので、安心して検査を受けてください。ご不明な点などございましたら、お気軽にスタッフにご相談ください。